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2023.04.26コラム

年代によって思うところはまちまちであると思いますが、30代後半の私としては、使ったことはなくても、聞いたことはある。そんなフレーズの代表格、それが「あたり前田のクラッカー」。

 まれに年を重ねた壮年のおじさま達が口に出しては涼やかな風を運んでくれる、清涼剤のようなフレーズですが、最近ではあまり耳にすることはなくなってまいりました。

 元々はコメディ番組「てなもんや三度笠」で俳優の藤田まことさんがクラッカーを手に持って言ったセリフとのことですが、なんと1962年の出来事だそうです。そう考えますと、半世紀以上にわたって生き続けているフレーズということになり、耳にする機会が減ったとはいえ、なかなかにすごいことなのではないでしょうか。ちなみに、前田製菓のクラッカーもロングセラー商品として今もスーパーなどに並んでいるそうです。九州で買えるのかは存じませんが、機会があれば一度手にとってみてはいかがでしょうか?

今更ですが「あたりまえ」と「前田製菓のクラッカー」で「あたり前田のクラッカー」なわけです。少し安直な気もしますが、そこがいいのかもしれません。

ちなみにこの「あたりまえ」という言葉、みなさんはどう思われますか。

実は以前、私の担当する喪家様の通夜のなかで、とある寺院のご住職がこの「あたりまえ」について語っておられました。

曰く、「あたりまえ」とは「ありがとう」の対極にあるものだということです。

考えてみれば、日常の中で「ありがとう」と伝える場面はいくらでもあるのだと思います。

私の場合ですと、例えば妻に対して、いつもご飯を作ってくれてありがとう、子供の面倒を見てくれてありがとう、一緒にいてくれてありがとう…等々。

一緒に生活をはじめて最初のころは伝えていた「ありがとう」もいつのまにかそれが「あたりまえ」になってしまうと言わなくなってしまう。皆様にもそのような経験はないでしょうか?

ご飯を作ってくれてあたりまえ、子供の面倒を見るのはあたりまえ、一緒にいるのはあたりまえ…。

しかしそれは、あたりまえのことではないんですよ。とても尊いことなんですよ。そのように、ご住職はおっしゃられておられました。

少々耳に痛いところもありましたが、その夜帰宅して用意されている晩御飯を前に「ありがとう」と言ってみれば、帰ってくるのは「どういたしまして」との言葉。

照れくさくもありましたが、なるほどこれは尊い時間かもしれないと思った次第です。

よろしければ皆様も、身の回りにある「あたりまえ」をあらためて考えてみてはいかがでしょうか?

もしかすると、忘れかけている大事なものが見つかるかもしれません。

そんなことは言われなくてもわかっているぞ! という方は是非、声を大にしておっしゃってみてはどうでしょうか?

『そんなことは、あたり前田のクラッカー』

 

かずやコスメディア 北原


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