お知らせ

2023.11.1コラム

日に日に秋が深まる季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

わたくしは今年4月に入社し半年が経ちました、まだまだ新人でございます。葬儀社というものは、とても奥が深く、特殊な業界だなと感じつつも、日々学びと発見があり多くのチャレンジを繰り返しながら、

早く一人前となれるよう毎日勉強に勤しんでおります。

 

そんなある日、先輩と勉強をする機会があった際に、一つの質問も投げかけられました。

「精進料理」

これはお葬式に携わったこと、参加されたことがある人なら一度は耳にしたことがある単語ではないでしょうか。精進料理、精進料理、と何気なく言っていますが、この「精進」とはどういう意味ですか?

精進料理の精進は…精進…ですよねぇ。。。私も何気なく使っておりましたが、改めて言われると何と答えて良いのか言葉が詰まってしまいました。

 

 そこで今回はこの「精進」について詳しく調べてみることにしました。

 

仏教界での「精進」の意味には、

「雑念を捨てて、身を清めて一心に修行すること」このようなことを指すようです。

これは仏道を勇敢に実践し続けることの意味から転じ、世俗の生活を捨てて仏門に入ることや、斎などの一定期間、言語・行動・飲食を制限すること、身心を浄めて不浄を避けること、

また、魚・肉類や美食を止めて菜食や粗食すること、などを意味するようになりました。

 

このように一定期間身心を浄める意味から、「精進潔斎」「精進日」などの言葉が現れ、魚・肉類を避けた菜食料理のことを「精進料理」「精進物」などと言い表すようになりました。この精進の期間に入ることを「精進入り」といい、

本来であれば四十九日法要の後に設けられる食事の席のことを「精進あげ」「精進落し」と言います。四十九日法要までの間は、精進料理のみを食するなど喪中よりも更に厳しく慎みある生活をして、故人の供養に専念する期間とされます。この期間が終わって日常生活に戻る機会として設けられるのが精進あげ、精進落しという飲食の席です。

しかし現在はそのご家庭によって様々な理由があり、この期間は短縮されている場合が多く、火葬後には一つの区切りとして、精進あげ、精進落しを行うことも多くあるように感じます。また初七日法要後に、精進あげ、精進落しを行うこともあります。

 

現在では仏教における修行や心の持ち方の意味から派生して、一般的に我々が使っている

「一生懸命に努力する」

「精神を一つのことに集中して打ち込むこと」ということでも使われます。

 

 このように日本では皆様が普段何気なく使っている言葉でも、元を辿れば仏教の教えが由来している、なんてものが幾つも存在いたします。そんなちょっとした発見も、気づいた時には何だか嬉しく感じてしまいますよね。

 

お付き合い頂きありがとうございました。

わたくし自身、これからも先輩方の遠い背中を追いかけながらプロとしての自覚を持ちつつ

「日々、精進して参ります」

 

かずやコスメディ 上原


2023.10.19コラム

かずやコスメディア、井上です。

昨日ふと、とある疑問が湧いてきました。

 

「合掌」は英語でなんと言う?

 

気になって辞書を調べてみると次のような表現が出てきました。

 

Press hands together(手をあわせる)

Press palms together(掌をあわせる)

Press hands together in prayer(手を合わせて祈る)

 

正直、どれもしっくりきません。と言うよりも、「合掌」の動作を説明こそすれど、その意味を表現できていない気がします。

 

なぜ、これらの表現に満足できないのか。日本語の「合掌」にはどのような意味があるのか。これを今回考えてみましょう。

 

そもそも「合掌」は古くはインドの礼法として誕生し、仏教と共に日本へと渡ってきました。日本に浸透する過程で本来の仏教的作法としてだけでなく、日常的な動作として「合掌」は日本人に吸収されてきました。

 

私たちが「合掌」するとき、それは両の掌をあわせるという動作だけでなく、この動作に何か特別な意味を持たせることが多いのではないでしょうか?

 

私が思いつく限り、合掌には次のような意味があります。

  • 感謝の意
  • 謝罪の意
  • 偲びの意
  • 祈りの意

 

これらの意味を「手をあわせる」という動作と共に状況に応じて使い分けていますよね。例えばご飯を食べるときは「命をいただきます」という意味を込めて①の意味で合掌。待ち合わせに遅刻してしまったときは「ごめん!」という謝罪の意味を込めて②を。お参りをするときは③を。そういえばヨガでも合掌することがありますね。

 

 

このように同じ動作でも、「手をあわせる」という行為が含有する意味というのはその時の状況に応じて多様的です。さらにはいくつかの意味が複合的に発現することもあるため、「合掌」という言葉を一言で説明するのは意外と困難です。

 

「合掌」を英訳した時に感じる違和感というのは、これら言外の意味がうまく表現できていないことに由来しているのでしょう。英語では単に「手を合わせること」しか表現できません。せいぜい祈りの意味を持たせるくらいです。感謝や謝罪の意味として”Press hands together (with gratitude) ”では意味は伝わらないでしょう。というよりも、日本語の「合掌」にあたる表現がそもそも英語に存在しないと言った方が正しいですね。

 

私見ですが、日本人はなんとなく「合掌」と聞けば上記のような意味を自然と使い分けているような気がします。誰から習うでもなく、いつの間にか身についている習慣のようなものでしょうか。

 

様々な意味を「合掌」に込めることができるのは、日本人であることの良さなのかもしれませんね。あえて英語からアプローチすることで、「合掌」についてここまで考えることができました。

 

話が長くなりましたが「合掌」は、他の言語には(少なくとも英語には)翻訳することのできない特別な意味のある動作と言っていいでしょう。今後AIなど科学技術のさらなる発展により、対人コミュニケーションはその様相を変化させていくことでしょう。しかし、私たちはAIに負けない愛ある心で合掌にて、感謝やお偲びの気持ちを表現させていただきたく思います。AIには心のこもった合掌はできないでしょうからね。

 

皆さんは「合掌」にどのような意味を込めていますか?稚拙な推考にお付き合いいただきありがとうございました。

 

かずやコスメディア 井上


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