2021.12.1 | コラム |
宮型霊柩車とは、神社や寺院の建物に見られるような宮殿に似た形をし、車両後部の棺を納める部分の内装は、極楽浄土が描かれていたり、木彫りで蓮の花があしらわれていたりと、凝った装飾が施されています。
「宮型霊柩車を見たら親指隠せ」「宮型見たら通り過ぎるまで息を止めろ」等の話を幼少期に聞いたことはありませんか?
霊柩車というと、どうしても不吉と捉えられがちです。
そんな宮型霊柩車に関する体験談をここで一つお話させて頂きます。
葬儀を終えて火葬場へ向かう道中、必ず日曜日の正午過ぎの時間帯だったと記憶しております。競馬場通りを火葬場へと向かっていると沿道に競馬新聞、馬券を握りしめて何かを願うように宮型霊柩車に手を振る人たちと遭遇する事が度々ありました。
当時はその意味を理解できませんでしたが、今思いますと「神社に似た形」から「神頼み」的な意味があったのでは?と思います。
ある日蓮宗のお上人(しょうにん)のご法話の中で「宮型霊柩車とは現世と来世をつなぐ架け橋なので縁起が良い存在なのです」と仰っておられました。
宮型霊柩車は縁起が良いものだと常日頃思ってください!!
とまでは言いませんが死や穢れを思い親指を隠したりしないでください。ご家族から愛され、惜しまれ、人生を全うされた故人様がその霊柩車の中にはいらっしゃるのです。
最近は宮型霊柩車を見かける機会も少なくなってきました。
減少理由は
- 宮部分を作成する宮大工不足
- 火葬場の近隣住民からの「宮型は見たくない」
等々、誰もがやがては迎える「死」ではありますが、ぱっと見で葬儀を連想させる宮型を不吉に思う住民は多いと言われています。近隣住民への配慮という事で150以上の自治体(火葬場)が宮型霊柩車の乗り入れを規制しているそうです。
上記の近隣住民皆様のご心中は重々お察ししたうえで・・・最後になりますが、
坂本九さんの「上を向いて歩こう」の作詞家として知られる永六輔さんの言葉に「世の中は変わっていくが、変えてはいけないものは変えてはならない」とありますように、宮型霊柩車とは日本の葬送文化の歴史を引き継ぐ大事な遺産なのです。
私自身が火葬場に送られる時は、必ず「宮型霊柩車」で!!
と家族には伝えています。
ですが、残念ながら弊社にはもう「宮型霊柩車」は存在しません。
昔を思い出し、懐かしみならがコラムを書いてみました(苦笑)
かずやコスメディア 原田謙二郎