2022.10.5 | コラム |
カルピスって、おいしいですよね? タイトルで書いておきながら、改めて冒頭で書くあたり、私がどれだけカルピスが好きなのかがわかろうというものです。
子供のころに初めて飲んだときの、あの甘さ。原液をグラスに注ぎ、氷を入れて水で薄めてかき混ぜたときの、カラカラと鳴るあの響き。それを作ってくれた母の優しさとともに、その衝撃を私は鮮明に覚えております。大人になって飲む頻度は減りましたが、たまに飲む機会があると懐かしさとともに子供のころの情景がよみがえってくる、私にとってはかけがえのない味でございます。
前置きが長くなりましたが、実はこのカルピスという商品名。仏教由来の言葉だというのはご存じですか?
正確には、カルシウムの「カル」とサルピスの「ピス」を掛け合わせた造語だということです。
このサルピスというのは、インドの発酵乳製品サルピルマンダの一つ前の発行段階のもので、そのあまりのおいしさから仏教ではサルピルマンダという言葉を「最上の教え」という意味で使用していた、という話もあります。そのため当初は「カルピル」と名付ける予定だったそうですが、語呂が悪いので一つ前の段階のサルピスからとって「カルピス」になったということです。
なじみのある味がこのような形で宗教と通じていると思うと意外に思うかもしれませんが、身近にある仏教由来の言葉というのは意外と多く、例えば
・「玄関」…「玄妙な道に入る関門」からできた言葉。玄は深い悟りの境地=仏教、関は関所という意味
・「うんたらかんたら」…密教のサンスクリット語で書かれたお経に「ウンタラタ、カンマン」というフレーズがありそのお経になじみのない人がこの部分しか聞き取れなかったことから、内容を正確に覚えていない時などに使うように
・「超」…「超〇〇〇」などと「すごく」の意味でつかわれますが、「超」は仏教で限界を超えた無限の
世界を会得した完全な悟りを意味し、また、「すべての人間に通じる」という意味もあります
このように我々の言葉や生活の場には、意外なところに宗教の影響をうけた部分があるようです。
仮にですが、例えばこれらを踏まえたうえで、
「きのうさー、家に帰って玄関あけたら母ちゃんがカルピス飲みながらうんたらかんたら説教はじめちゃってさー、マジで超だるかったんだよー」
などとのたまう若者がいたら、その若者は仏の世界に片足を踏み込んでいるのと同義ではないでしょうか?(※違います)
少し話がそれましたが、このコラムをご覧の方の中には自分は無宗教だから宗教とは無縁に生きている。と思っておられる方も多いのではないでしょうか? ですが、長く続いている宗教というのは意外なところで我々の生活に溶け込み、日々の生活に密接にかかわっているものもあります。
今回は仏教由来の言葉をほんの少しご紹介しましたが、調べれば多種多様な宗教の痕跡が見つかるかもしれません。
何気ない日常を、たまにはいつもと違う視点で眺めてみるのも面白いかもしれませんね。
かずやコスメディア 北原