2023.06.15 | コラム |
梅雨に入り雨の心配が増えてきた今日この頃ですが皆様いかがお過ごしでしょうか?
前回に引き続き「葬儀」についてお伝えしていきますので、お付き合い頂ければと思います。
葬儀には、前回述べた役割の他に「教育的な役割」があります。 人の死を悼んで人々が集まり営まれる葬儀は、集まる人々に命の大切さ、生ある人は必ず死ぬべき存在であることを知らしめます。
そこで人々は、死が周囲の人に悲嘆をもたらすほど大きな事実であることに直面し、人の命の大切さを体験的に教えられます。 葬儀という場面で、人々は死の事実に相対しその事実を体験することから生のかけがえのなさに気付きます。
またそこで注がれる豊かな愛や祈りを体験する事により、死が決して終わりや無をもたらすものではないということを学びとります。
故人を悼み、故人と別れ、心を込めて送り出す時に、私たち生きている者もまた、いずれ死すべき存在であるということに思いを致すことでしょう。
私たちは葬儀という場面に立ち会い、参加することによって「命」について学んでいるのです。 私たち遺された者は葬儀という辛い儀礼を営む事を通じて「命の歴史」を受け継いでいると言っても良いかもしれません。
葬儀文化は、長い歴史を通じて地域の人々が培ってきたものであり、その精神を大切にすることが必要です。 葬儀には長く多くの人々が育ててきた知恵が溢れています。 過去の残存物だと切り捨てるのではなく、そこに込められた意味を学ぶ必要があると考えます。
確かに文化はその時々の歴史や時代を反映していますから、中には現在では合わなくなってしまったものもあり、全てをそのままの形で継承する必要はありません。 しかし、その文化がなぜ、どのようにして形成されてきたかに思いを致すことにより長く続いた慣習、儀礼、文化から人々が何を大切にしていたかを学ぶ事ができます。
しかしながら今現在、葬儀は大切な営みであるにも関わらず、形骸化が語られたり、その意味や心が失われていっているという事は葬祭業に関わる者として悲しい事です。
一つ一つの葬儀を2つとない葬儀と考え、それぞれの近親者の心を大切にして、意味ある葬儀を実現するために、
- 死者の尊厳を守ること。
- 遺族の悲しみ(グリーフ)を大切にすること。
この2つのために葬儀があり、一つ一つが遺族にとって意味のある、心に残る葬儀となるように、私たち自身が葬儀に対して正しく、明確なポリシーをもって、何事も謙虚に学んでいく姿勢が大切だと考えます。
死んだ文化ではなく、生きた文化として葬儀を次代に正しく継承していくために、意味ある営みとして葬儀を理解し、実践していく責任が我々に課せられているのかなと思います。
いかがでしたでしょうか? 前回より引き続き「葬儀」について書かせて頂きました。
今後も「葬儀」のいろんな側面をご紹介できればと思います、お付き合い頂きありがとうございました。
かずやコスメディア 山路