「枕経がもたらす安らぎ——ご遺族が感じた『ほっとする』瞬間」

ご家族を亡くされたとき、深い悲しみとともに訪れるのが、葬儀の準備や手続きに追われる時間です。そんな中、先日担当させていただいたご遺族がまず「ほっとした」とおっしゃったのが、故人を安置した際にあげた枕経(まくらきょう)でした。

枕経とは、故人が亡くなった直後に僧侶によって読経される儀式です。仏教では、故人の魂を安らかに導き、旅立ちの支えとなる重要な役割を果たすとされています。しかし、実際にその場に立ち会ったご遺族が感じたのは、「形式的な儀式」ではなく、「心が落ち着く瞬間」だったのです。

「突然のことで気が動転していましたが、お経を聞いたら、少し落ち着きました。」

「悲しみの中でも、ちゃんと見送る準備ができるんだと実感しました。」

このような言葉が、ご遺族の口からこぼれました。

枕経の持つ力は、お経の響きそのものだけでなく、その場の雰囲気や僧侶の語りかけ、さらには故人を囲むご家族の祈りによって生まれるものです。悲しみや混乱の中にあっても、「いま、故人のためにできることをしている」という実感が、ご遺族の心を支えてくれるのでしょう。

葬儀のあり方は時代とともに変化していますが、こうした小さな瞬間に込められた意味は、これからも変わらない大切なものなのかもしれません。

私たちは、ただ葬儀を執り行うのではなく、ご遺族の心に寄り添いながら、少しでも安らぎを感じられる場を提供していきたいと改めて感じました。

かずやコスメディア木野

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