品について

皆様が日々をお過ごしいただくにあたって「品」という言葉を耳にすることが多いのではないでしょうか?「品格、品性」など、言動や物の良し悪しを「上品、下品」という言葉を用いて「上品な色」、「下品な言葉」などと表現する方も少なくないように思います。

 以前とあるお寺のご法話にて、その「品」についてお話をお伺いしたところ、古くは仏教を由来とした言葉らしく、浄土経の「九品(くほん)」が元になっているとのことでした。

九品について調べれば、

  1. 上品上生(じょうぼんじょうしょう) 三心に象徴される深く往生を願う心を持ち、大乗経典を読誦する人。
  2. 上品中生(じょうぼんちゅうしょう) 大乗経典を読誦しなくても意味を理解し、深く因果を信じ大乗を誹謗しない人。
  3. 上品下生(じょうぼんげしょう) 因果を信じ、大乗を誹謗せず、ひたすらに悟りの道を求める人。
  4. 中品上生(ちゅうぼんじょうしょう) 五戒・八戒を守り、五逆を行わない人。
  5. 中品中生(ちゅうぼんちゅうしょう) 一日、八戒または十戒、もしくは具足戒を守り、規律正しい行動ができる人。

他にも、

6.中品下生(ちゅうぼんげしょう)

7.下品上生(げぼんじょうしょう)

8.下品中生(げぼんちゅうしょう)

と続き、

9.下品下生(げぼんげしょう) 五逆・十悪、不善を行う人。

と、以上のように、阿弥陀様の世界である西方浄土に往生する人を生前積まれた功徳に応じて九つに細かく分類されているようです。

本来の仏教用語としては、「生涯ひたすらに悟りを求める人」や「悪人」など細かく分類する際の名称が「上品、下品」の意味でしたが、現在ではまったく違った意味の言動や物の良し悪しを表す際の言葉として定着したようです。

ご法話をお聴きし、九品を知るまでは特に気にすることもなく、「あのスイーツは上の上」や「どこそこのラーメンは中の下」などと物事に優劣をつけることもありましたが、本来の意味を知ってしまうと少々使いづらく思える様になりました。

普段は何気なく使っている言葉も由来を辿れば仏教用語だったということがありふれているのかもしれませんね。

かずやコスメディア 田中丈詠

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